Perfoming Arts Critics 2013

若手の書き手によるレビューブログです。2013年11月から12月に上演される舞台芸術作品についての批評を中心に掲載していきます。

▽伊藤元晴

銃殺刑の上演 −地点『ファッツァー』

本作は京都にできた劇団のアトリエ「アンダースロー」での上演となる。舞台は、古い住居のはがれた外装のようにくすんだ緑色の壁の前に人、一人通れる分ほどのスペースが水平方向に広がる。上手には不揃いなドラムセット、バスドラムの穴の上には「Fatzer」…

虚しい廃墟 −『石のような水』

この演目はソ連の映画監督、アンドレイ・タルコフスキーの2本の映画を元に構成される。一本は1979年製作の作品、『ストーカー』。隕石の墜落によって、その墜落地帯の周辺に出現した特殊な地区「ゾーン」。その中心には「部屋」と呼ばれる場所があり、ここに…

「何でもあり」のホスピタリティ −劇団子供鉅人『HELLO HELL!!!』大阪公演

人が死ぬというのはなんと愉快なことか、と思った。あくまで舞台上の話だ。 対面式舞台、舞台上には地獄の業火を連想させる赤を基調とした華やかな色合いの段が2段。上段には悪魔や鬼の仮装をしたミュージシャンが並ぶ。舞台前面に並んだ豆電球、そのひとつ…

マルセロ・エヴェリン/デモリションInc.『突然どこもかしこも黒山の人だかりとなる』

演劇にしろダンスにしろ、一方的に「見る」体験であることのほうがずっと多いのだが、そんな中でマルセロ・エヴェリン「そしてどこもかしこも黒山の人だかりとなる」は「見る」と同時に「見られ」もする奇妙な体験となった。 会場は真っ暗なブラックボックス…