Perfoming Arts Critics 2013

若手の書き手によるレビューブログです。2013年11月から12月に上演される舞台芸術作品についての批評を中心に掲載していきます。

▽徳永綸

目を合わせないこと

本来ならば客席であるところに観客は座り、少し見上げる形で客席側に立つ俳優たちを観る。物語は、とある町にいる、とある女の登場から始まる。俳優たちは皆、何か制限が加えられているようにぎこちなく震えながら演技し、発せられる言葉も感情を抑えられた…

文字と共に旅をする

観客が劇場に入ると、目の前には大きな二枚の絵画がぶらさがっている。片方はしっかりと枠に貼られているキャンバスに描かれているが、片方は枠無しである。両方の絵に描かれているのは、本作、『光のない。(プロローグ?)』の戯曲の文章である。正しく言…

観客は観劇を体験することができない

ツアーパフォーマンス、もとい、ツアー。中野成樹と長島確により制作された『四谷雑談集』そして『四家の怪談』は、『四谷怪談』を題材に、都内のとあるエリアを散策することをメインとしている。このツアーにはそれぞれお供となる「台本」が一冊ずつ用意さ…