Perfoming Arts Critics 2013

若手の書き手によるレビューブログです。2013年11月から12月に上演される舞台芸術作品についての批評を中心に掲載していきます。

2014-02-07から1日間の記事一覧

目を合わせないこと

本来ならば客席であるところに観客は座り、少し見上げる形で客席側に立つ俳優たちを観る。物語は、とある町にいる、とある女の登場から始まる。俳優たちは皆、何か制限が加えられているようにぎこちなく震えながら演技し、発せられる言葉も感情を抑えられた…

文字と共に旅をする

観客が劇場に入ると、目の前には大きな二枚の絵画がぶらさがっている。片方はしっかりと枠に貼られているキャンバスに描かれているが、片方は枠無しである。両方の絵に描かれているのは、本作、『光のない。(プロローグ?)』の戯曲の文章である。正しく言…

揺らぐ境目/その周りで

1. 揺らぐ境目 象の鼻テラスの 3面の外壁を兼ねる大きなガラス窓からは、象の鼻パークとその向こうの横浜港が広く見わたせる。Theater ZOU-NO-HANA vol.5『象はすべてを忘れない』(柴幸男(ままごと)演出、以下『象』)は 11月一杯の公開稽古を経て、12月…

恐ろしいこと満載の人生 –北千住の恋人–

『四家の怪談』は、北千住界隈をめぐるツアーパフォーマンス形式の演劇であると聞いていた。スタート地点となる集合場所のホールに行くと、友人のH嬢に会った。F/Tの会期中は彼女によく会う。 作・演出の中野成樹は、海外作品の大胆な翻案「誤意訳」で知られ…